西田利の日記

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きちんと手入れされた

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080715-00000993-san-soci
口ひげが生えていることを理由にマイナスの人事評価をしたのは人権侵害にあたるとして、大阪弁護士会は15日、「きちんと手入れされたひげであれば個人の自由」とする勧告書を、郵便事業会社(東京)と同社近畿支社などに送付した。

 大阪市内の同社支店に勤務する男性(55)が同弁護士会に人権救済を申し立てていた。

 同弁護士会によると、男性は平成元年の採用後から口ひげを生やしていたが、民営化を控えた日本郵政公社(当時)が平成16年、「接遇・マナーレベル」の認定制度を設け、「ひげは不可」とするガイドラインを作成したため上司が問題視。不認定となり、当時の公社幹部は「ひげ」を理由にあげた。

 男性は顧客との接触がない業務に配置転換され、人事評価でも比較的低いランクになったという。

 同弁護士会は、こうした措置について、ひげだけを理由とする不当な扱いと判断。勧告書で「無精ひげであれば、顧客に不快感を与えるため制約する必要がある場合もあるが、(男性の場合は)ひげは手入れされている。顧客から苦情が寄せられた事実もない」とし、「個人の自由に属する」と結論づけた。』


 もちろんきちんと手入れされたモヒカンも個人の自由だろう。


 私がいやみを言うのはこんなわけだ。ひげが個人の自由だというのは分かる。しかし自分がこの人と一緒に働くことを想像したら? いろんな職場があって、社長がひげをはやしている職場だってあるだろう。事務所全員がタバコを吸う職場もあれば、ネクタイが当然の職場、あるいは逆に変人しかネクタイを締めていない職場もある。つまり、なにが普通かは一概に言えないわけだ。その中で「口ひげは好ましくない」と言われている職場に勤めて、ただひげを剃るくらいの譲歩も出来ない人物、これはどうか。実はこの人は他のあらゆることを仲間と協調して働いていて、ただ偶然ひげを剃ることだけが譲歩できない(おやじの遺言とか、子供の病気について願をかけているとか)一線だとでも言うのかね? 個人の自由だってのは分かる。個人の自由を謳歌しながら毎月数十万円の給料を貰うことがこの人の世界では当然なんだろう。しかし一方では日本で何十万人の人が会社から突然解雇されて、自分の専門だった仕事を離れたり、中には公園で暮らすようになる人も居る。それも、ひげどころか一挙手一投足会社の指示通りにやった結果が解雇されたと言う人だって珍しくないわけだろう。彼らの生活も個人の自由かい?


 信じられないかもしれないが、電気ポットに水を入れる方法とか、弁当屋に注文を渡す方法とか、そんなつまらない問題で職場で人と対立して譲らない、という人が世の中に居るんだ。そんな経験があるもんだから上の記事を読んで私の想像が膨らんだわけだが、実は私はこのひげの人物についてぜんぜん知らないんで、会って見たら意外と感じのいい人でそれをきっかけに私がひげの人物全体に好感を持つようになるという可能性だってあるわけだ。いや、実はこの人は敬虔なイスラム教徒なんだが、社員食堂のとんかつも我慢して食べ、会社の宴会で強要される酒も心中泣きながら飲み、就業規定のために毎日5回の礼拝も出来ず、ひげを剃らないと言うことがイスラム教徒として残ったただひとつのアイデンティティだと言う可能性だってあるわけじゃないか。他人のことは分からんもんだからな。ただこの記事には上に書いたように私の経験を刺激する点があって私の想像が勝手に膨らんだと言う、それだけの話だ。